尾上菊之丞の日記

「披く」ということ

2009.10.23


今日は明日から開催される尾上流師範による勉強会のリハーサル。今回が初めてで、家元の稽古場で開催される。若手の師範を中心に、手が届くような距離に観客がいる中で技芸向上を目的としていて、僕自身も「近くで観る日本舞踊」と題して何度か開催している。劇場で踊る時には、客席と舞台には高さの違いもあれば最前列のお客さんでもある程度の距離があり、ごまかせてしまう部分もあるが、手が届くような至近距離では息使いから指先の微妙な動きまでごまかしがきかない。そういう中で踊るということは踊り手としては普段の舞台より緊張感が増す。勿論、観る側も劇場では味わえない臨場感と緊張感を共有することになる。非常に小規模な催しだが、経験から言っても踊り手にとってはとても勉強になるし稽古場だからといってまったく侮れない。
そんな勉強会のリハーサル終了後、茂山狂言会を観に国立能楽堂へ行った。今日の目当ては茂山宗彦さんの「花子」。能・狂言の世界では初役で大きな役を勤めるとき「披く」という言い方をする。一度しかない披きを見物するというのはその場に立ち会うという意味を強く感じる。言葉で伝えるのは少し難しいが、舞台の良し悪しや作品を観るというよりもその個人を見詰めているのだと思う。その人の取り組み方や姿勢、気持の強さというものがひしひしと伝わる。そういう意味で彼の気持ちを強く感じ、同い年の芸を志す身として刺激を受けて帰ってきた。どんなに慣れてきたり技術が身についても、この感覚を忘れてはいけないのだろうと常に自分を戒めなければいけないのだろう。


「サロメ」初日

2009.10.19

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東京グローブ座で今日から幕を開けた「サロメ」。演出:鈴木勝秀、出演:篠井英介・森山開次・江波杏子・上條恒彦。稽古から拝見していましたが、やはりお客さんが入るとひと際俳優の皆さんの演技に息が入り、オスカーワイルド原作の戯曲に日本舞踊とコンテンポラリーダンスが融合した新しい演劇が完成したように感じます。「サロメ」という題材そのものにもとても魅力があり、これはストレートに日本舞踊に置き換えられる作品でもあると思う。美しい姫の持つ狂気。無垢と無知。ある種、道成寺の清姫にも重なり、最終的に愛してしまった修験者(予言者)の生首を手にする美しい姫の姿はとても衝撃的。
九州や大阪、北陸でも上演するようなので、興味のある方は是非ご覧ください!


篠井英介さんのサロメ

2009.10.18


今日は明日初日を迎える篠井英介さん主演の「サロメ」の舞台稽古へ。篠井さんは俳優さんとしては勿論だが、日本舞踊のキャリアも長く、今回の「サロメ」ではそんな篠井さんならではの舞踊シーンがある。劇中では王に舞を披露する場面や、コンテンポラリーの森山開次さんとのセッションのような場面がある。篠井さんは日本舞踊の様式を基本に舞うのだが、ご自身が主演されているので客観的な目が欲しいということでお声をかけていただいた。といっても大したお力にはなれず申し訳ないのだが・・・(苦笑)。これまでも「欲望という名の電車」や「サド侯爵夫人」など篠井さんの舞台は度々拝見しているが、歌舞伎の女形とはちがう現代演劇における女形を確立されていてその度毎にいい意味で驚かされる。明日の初日も拝見するが、また新しい世界を観れることが嬉しく、楽しみだ!


松也クンの稽古

2009.10.17


11月27日に前進座劇場で~若手歌舞伎役者の舞~と題して開かれる尾上松也くんを中心にした舞踊会。演目は常磐津「松廼羽衣」と長唄「太刀盗人」。僕は羽衣の稽古を担当していますが、昨日が稽古初日。「松廼羽衣」は有名な羽衣伝説を題材にとったもので、舞踊作品としても大変に人気が高く、たびたび上演される演目。天女を松也くんが演じ、漁師を音一郎くんが勤める。華やかで格調高く舞う天女はしっかりした基本がとても大切で、変なことをしてはいけない役。どんな天女になるかとても楽しみ。公演の詳細は尾上松也公式ホームページへどうぞ!


三十三間堂

2009.10.15

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今日は先斗町の温習会である水明会。(温習会:京都花柳界の秋季行事である)
その稽古の為に一昨日から京都に入っていたが今日の開演時間が午後4時だったので日中の空いている時間を利用して七条にある国宝・三十三間堂を見物に行った。京都で日中時間が空いていることはまずないので久しぶりのことだった。堂内は撮影禁止なので撮れなかったが、千体の千手観音像は圧巻であった。中心にある巨像含めて1001体が御本尊で正式には「十一面千手千眼観世音(じゅういちめんせんじゅせんげんかんぜおん)」というらしい。頭には十一の顔、左右合わせて42本の手がある。1本の手が25の手だてを持つことで千手となる。身の丈3メートル余りの千手観音像が1000体並ぶ前には様々な神々28体の仏像(こちらも全て国宝)が並び、千手観音と信者を守っている。また、その両端には一回り大きい風神と雷神が力強く立っている。京都によく行く割にはあまり京都市内の寺社仏閣を訪れることがなく、三十三間堂も初めてだった僕はおよそ850年前に造られた仏像の圧倒的な力に驚き、感動しました。3年前から奈良のお寺を巡ったり以前は興味のなかった仏像に心を寄せてみたりとある種の進歩なのか老いなのかわからないが色々と訪れて自分の目で見て感じたいと思っている。そんな自分自身の気持ちの変化も不思議な感じがする。素晴らしい仏像や建造物を見ると、人間がちっぽけに感じることもあれば、それを造りだした凄まじい強さを感じ、逆にそこまで打ち込まなければ救われないと思う弱さのようなものも感じる。実に魅力的で引き込まれる。また暇をみて色々と訪ねてみたい。


新幹線らくらく予約

2009.10.13


先斗町の芸妓さんの舞踊会の稽古で京都へ来ました。今朝、初めてJRのEXPRESSカード使って新幹線の切符を予約。窓口で切符を買う手間も省けるし、料金も普通に買うよりも安い!支払はまとめて請求なのでお金を出す必要もないのでとっても便利!なぜ今まで利用しなかったのか・・・世の中便利に利用できるものを利用しないとけっこう損しているようだな・・・


千里眼の女

2009.10.12

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劇団青年座公演、斎藤雅文作「千里眼の女」を観劇しました。
大正時代に騒がれた千里眼を持つ女を中心に、超能力を科学で解明しようとする学者たちや、新聞記者、そして家族など彼女を取り巻く人間たちの身勝手さや無責任、そして芽生える恋が描かれていた。
作者の斎藤雅文さんは劇団新派の文芸部で、新派の舞台制作に関わる一方、昨年・一昨年と日本舞踊協会が主催した創作舞踊劇場で創作舞踊の脚本も手がけられている。最近では染五郎さんが坂本竜馬を演じた新作歌舞伎の作者でもある。特殊な能力を持つ田舎の女性が、能力を持ったがために背負った孤独感は想像を絶するであろう。好奇の目にさらせれ、心ない人々に翻弄される彼女の闇がしっかりと描かれていたように思う。上演は18日まで、新宿の紀伊国屋ホールで上演されています。


本日も・・・

2009.10.10


今日は日中はゆっくりして漠然と考え事などしていた。今晩も味をしめて料理をしてみたのだが・・・
メニューはペペロンチーノスパゲティとトマトリゾット。パエリアとリゾットの差が分からない僕は、早く食べたいばっかりに早めに火を止めて蒸しに入ったが、ちょっとばかりご飯の芯が残ってしまったようだ。それよりも笑ったのはペペロンチーノ!作ってる最中はとっても美味しそうだったのに食べてみたら味が・・・・。塩こしょうするのわすれてました・・・
今日は失敗したが、自分で作るとそれでも結構食べれるから不思議だ。

食後にフジテレビ開局50周年のナイナイのめちゃイケを観ていたら、懐かしいバラエティー番組が沢山見れた。中でも「とんねるずのみなさんのおかげです」でひとり爆笑!


クッキング!

2009.10.09

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今日は歌舞伎座の昼の部を観に行ってきました。序幕から三津五郎さんの「毛抜」・玉三郎さんの「蜘蛛の拍子舞」・藤十郎さんの「河庄」・松緑さんの長男の初見得「音羽嶽だんまり」の四幕。毎月、歌舞伎座のさよなら公演ということで豪華な狂言立てになっています。「蜘蛛の拍子舞」についてはずいぶん前から曲が大好きで、長唄の三味線も小鼓も随分と練習しました。尾上流には「蜘蛛の拍子舞」の振りがありませんので、機会があれば新たな振付をしてみたい作品のひとつであります。また、個人的にも親交深い松緑さんのお子さんの初御目見えは本当にお目出度いことで、嬉しく舞台を拝見しました。
歌舞伎座の後には舞踊協会の理事会に行き、今夏の新作公演の制作報告を行いました。これをもって21年度の新作公演の制作業務が完全に終了し、制作担当の任を解かれホッとして帰宅しました。
今日の最後は久しぶりにキッチンに立ち、ハンバーグとパエリアをつくってみました。義母の誕生日ということもありずいぶんしっかりと料理らしいものをつくりましたが、料理に集中してリフレッシュできた感じです。写真はあまりおいしそうに見えませんが、自分的にはいい味にできたと自負しております!


「悼む人」

2009.10.08

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直木賞受賞作品、天童荒太著「悼む人」を読んでみました。
良いです!も~良いんです!!
人間の「死」・「生」・「愛」について本を読みながら様々思いを巡らしながら、心を鷲掴みされたようでした。無論、僕の言葉など何をも伝えることができないので、興味ある方は読んでみてください!
僕は小さい頃からやたらと死ぬのが怖いと感じてきました。小学生の頃、学校で在学中に亡くなった子供たちを追悼する礼拝があって、並べられた遺影を見ていると子供ながらに自分の死について考え込んでいたこと、夜寝ると次の朝目覚めることができなくなってしまうんではないかという恐怖心。歳を経るごとに少しずつ死に関する考えは変わってきましたが、ほとんど進歩していないように思います。「悼む人」を読んで少し変われたかな・・・・
なんだか訳のわからんことを書き連ねましたが、兎に角おすすめの一冊です。(※決して変に重い作品ではありませんので!)


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